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後期研修プログラム
初期研修プログラム・要項 後期研修プログラム・要項

一般外科 後期研修プログラム

1.はじめに

   外科は『手術』という、生体に少なくとも何らかの侵襲を加える手技を使用し、病状を改善の方向に転換させようとする考えを持つ診療科です。
   診断、適応、術前管理、麻酔、手術、術後管理が計画的に連続して行われる必要があり、患者の疾患を規制している医学的・社会的要因を考慮し、その生体の生命力を大切に医療行為を加えていくことが重要です。的確な外科的治療は劇的な治療効果をもたらしますが、時には意図とは異なった合併症などの予定外の事態が起きることもあり、このような事態に対しても、外科医には常に的確な判断と行動が要求されます。
   優れた外科医になるための近道はなく、一定の期間、指導者と共に、症例ひとつひとつを大切に積み重ねて学んでいく以外に方法はありません。

2.外科を目指す あなた

   当院・長野中央病院は『がん診療』がしっかり行える外科医を育てたいと考えています。
[昔から言われている2つの柱]
   1.確かな技術
   2.患者と共に問題を解決する力 そして 心 を育てたいと思います。
1.確かな技術
これは、他科ともしっかりカンファレンスできる診断能力と、外科ならではの『手術力』。手術は確かな空間認識能力と先を読む力、そしてバランスです。自分の力を、個人としてチームとして客観的に認識し、“創意と工夫”を大切に、常に成長する活力を養いたいと考えます。手術に限らず、化学療法を始め、さまざまな治療を外科も行います。特に腫瘍外科としての化学療法、診断の時点から始まる緩和ケア等の技術獲得も重要です。
2.患者と共に問題を解決する力
トータルに患者を診る力が必要です。トータルとは、緩和ケアにいう○身体○精神○社会○スピリテュアルの4つの観点でしっかり患者を診ることです。Co‐medical staffとカンファレンスを重ね、患者の問題を解決する力と職種としての医師の役割を培いたいと思います。疾患にみまわれ痛みを感じている人の痛みを理解し、共に歩む心を大切にしたいと思います。
   時代は進化し、医療も変化し、技術の発展は日進月歩。新しい知見と技術を吟味し、必要な物は積極的に取り入れること・学習し続けることは本当に大変です。患者の立場に立ち共に進める診療は、考えれば考えるほど、求めれば求めるほど、課題は山積みです。しかし、負けるわけはありません。我々には大切な“想い”があるから。プロの力で問題を分析し誠意をもって臨むことによって必ずや道は開けます。
   医療はチーム医療の時代。横断的医療を展開する時代。外科はフットワーク軽く、クリティカルパス、NST、緩和ケア等の活動のフラグシップとなるべく行動すべき診療科です。
   患者のため真剣に対処しても、時に予想しない事態も起こります。その時も、その事態の重さに負けることなく、皆と相談し、冷静に事態を判断し的確な道を選択する判断力と行動力と強い心が必要です。
   三つ子の魂百まで。この大切な後期研修期間に学ぶべき多くの事項は、あなたの未来を造ります。
   来たれ!若き外科医!

3.基本的技術の獲得

・変化している近年の創処置を自分のものにする
・侵襲的処置を安全に行う
  中心静脈カテーテル、上腕静脈カテーテル、静脈ポート留置、各種穿刺処置
・全身麻酔、硬膜外麻酔、脊椎麻酔、局所麻酔・膨潤麻酔等“よい麻酔”の追求
  麻酔指導医のもと 麻酔の研鑽を積んでもらいたいと考えます。
・術後管理・術後処置
・乳房検診、マンモグラフィー読影、内視鏡検査、超音波検査、各種画像診断力

4.『手術力』の獲得・研鑽

そけいヘルニア 当院は現在ダイレクトクーゲルパッチ法が標準術式。
早期にそけいヘルニアのエキスパートになってもらいたいと考えます。
急性腹症 診断・手術加療を迅速に。緊急手術には迅速に対応します。
急性胆のう炎 迅速なる手術加療にて対応することが非常に多くなってきました。
主治医として役割をはたします。
消化管がん 主治医として診療を行います。
可能な部分から手術手技を指導のもと身につけてもらいます。
主治医としてのマネージメント能力を培います。
肝胆膵がん 可能な部分から手術に参加します。
鏡視下手術 胆摘、結腸・胃切除から行っています。チームとして参加します。
急性虫垂炎 鏡視下手術も多くなってきました。
乳がん 診断、手術加療、術後加療を主治医として行います。
変化する最新の医療を学び続けることが不可欠です。
患者に対する連続した真摯な対応が必要です。

5.その他

化学療法 外科医が担う化学療法は非常に多くなってきました。
外来化学療法を中心とした診療のマネージメントを行います。
当院は電子カルテ化学療法システムを使用しています。
乳がん検診 検診にも力を入れています。マンモグラフィー読影医は4名。
早い時期に読影資格を得てもらいます。
内視鏡検査 上部・下部消化管内視鏡検査に参加します。
超音波検査 超音波検査に参加します。
カンファレンス カンファレンスを特に大切にしています。
他診療科との術前・術後・病理カンファレンスを行います。
他職種での術前カンファレンス、入院患者カンファレンスを行い、他職種で総回診を行います。
緩和ケア がん診療は緩和ケアがなければ行えません。
技術と心を磨く必要があります。
現在当院には緩和ケア病棟はありません。
各病棟においてじっくり緩和ケアを展開します。
栄養療法活動 NST認定稼働施設・NST教育施設です。
基本的にブロック方式のNSTを推進しています。
外科にとって栄養療法は必須。病棟のリーダーになってもらいたいと思います。
TNT講習を是非受講してもらいたいと考えます。
クリティカルパス 当院は電子カルテクリティカルパスシステムを活用しています。
本邦において先端を走っていると考えます。
院内では外科が電子クリティカルパスを先陣をきって活用しています。
患者状態に基軸をおくという理念の次期電子クリティカルパスシステム“フレキシブルパス”を電子カルテベンダーと共同開発しています。
患者状態適応型パスシステム“PCAPS”開発にも積極的に参加しています。
クリティカルパス活動はチーム医療の鏡であるといえます。
繰り返します。この大切な後期研修期間に学ぶべき多くの事項は、あなたの未来を造ります。
来たれ!若き外科医!