長野民医連の内科は、これまで一般内科として開始され、徐々に専門に分化し発展してきました。しかし、その病院の規模と、県内に多数の小病院・診療所をかかえることから、完全に専門に特化することなく、一般内科をしつつ、専門もするというスタイルが定着しました。これはある意味、日本の医療の特徴で、開業医であっても、一般内科以外に自分が得意とする専門分野があるのが普通です。最近の流れの真の意味での家庭医/総合診療科医は、まだほとんど育っていないのが現状だと思います。
では私たちが求める総合診療科医とはどんなものでしょうか。まず重視すべきは、どこで誰のために医療をするかという視点です。地域によって抗生剤の感受性が違うように、そこの地域の特性を無視して、総合診療は成り立ちません。
長野県は、全国の中で高齢化が非常にすすんでおり、入院病床数は少なく平均在院日数は全国で最も短いという特徴があります。高齢者に対する医療知識は幅広く要求されますし、小児科が少ないために、プライマリーな小児医療も必要です。
民医連医療を行う上で、これに加えて、種々の福祉制度の理解、介護保険の利用、家族への支援などが要求されます。医師が少ないために、ある程度の専門医療まで踏み込まざるを得ない状況もあります。
長野県民医連の総合診療は、将来の日本の縮図になるのではないかとも思っています。